大切にしていること

手を掛けてもらえる家

絵や植物を飾るといった日々のことから大掛かりな改修まで、住み手に「もっと手を掛けて自分たちの居場所をよりよくしたい」という思いを持ち続けてもらえる家が、いい家だと思っています。

そうやって長く愛される家であるためには、快適で安心できる拠り所としてずっとそこにあり続けられる強さと、その時々の状況に応じて柔軟に変わることができる軽やかさを併せ持つことがとても大切です。

安心できる強さは、高い耐震性能を持つ構造とその劣化対策、長年の風雨に耐え得る雨仕舞などの各部の納まり、一年を通して快適さを保つ温熱環境設計などから成り立ちます。

また柔軟な軽やかさは、将来的なプラン変更や増築/減築、日々進化する設備の更新を想定しそれを容易にしておくことや、季節や天候に応じて窓を開けたり日を遮ったりできる、自然環境に対して能動的に呼応する建築的設えを用意することなどで実現されます。

住み手に楽しみながら手を掛け続けたいと思ってもらえるような、密度が高く、同時にイマジネーションを喚起する余白をもった設計を目指しています。

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除湿型放射冷暖房を採用し、温/冷水が循環するラジエータからの放射と空気の対流によって、一年を通して家全体が快適で安定した温熱環境となるよう計画した事例

「かたち」を通して考える

設計の結果として出来上がった建物自体と同じくらい、そこに至ったプロセスも大切だと考えています。

設計の過程では、自分たちの思い描く生き方が徐々に図面やスケッチ、模型といった「かたち」になっていき、そしてその「かたち」が改めてお施主さんに問いかけるというプロセスが繰り返されます

そしてそのプロセスは建物が建って終わりではなく、移り住んだ後も実際の空間に身をおきながら、思考と実践の繰り返しとして続いていきます

お施主さんには、設計を通して経験した「かたち」を通して考え続けること、そしてそれが建物が建った後も続いていくプロセスそのものを、その後の生活の中で享受していただきたいと思っています。

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左:吹抜に面した本棚のプロポーション、光の入り具合等を検討した模型写真
右:実際にできあがった本棚の写真

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左:吹抜に面した本棚のプロポーション、光の入り具合等を検討した模型写真
右:実際にできあがった本棚の写真